キャノピー墓
欧米語表記:canopy tomb
四角形の平面(壁の場合が多いが柱の場合もある)にドームを架けた墓建築のこと。イスラームの教義においては、墓建築は否定されたが、9世紀頃から、ドームを持つ建物で覆われる墓が見られるようになった。この形式はイスラームの広がりとともに、北アフリカから中国、東南アジアまでの広い地域に見られる。東方のイスラーム(イラン、中央アジア、インド)などにおいては、墓建築が多様に発展したので、それらと区別するために、簡易なドームのみを持つ簡易な墓建築を指す言葉として用いられる。インド、マムルーク朝の墓建築は、概ね、キャノピー墓である。また、キャノピー墓はブハーラのサーマーン廟のように、単独で建てられたものを指すことが多いが、マムルーク朝建築においては、複合施設を建てる際に、その構成要素の一つとなった傾向が見られる。