コスマテスク

欧米語表記:cosmatesque

色石の象嵌細工の様式を指し、中世イタリアを中心に、ヨーロッパの教会堂に広まった。細かな幾何学図形を用いることに加え、円柱を輪切りにした円形を主たる構成とする点が特長である。その名は、12世紀から13世紀のローマで一族で色石のモザイクを作成したコスマティ家に由来する。地中海世界においては、多色の大理石を象嵌にして模様や図柄を表現する手法が伝統的にある。そうした中で、コスマテスクが成立した背景には、当時のラヴェンナのビザンツ建築、パレルモのノルマン建築からの影響、さらに既存の建物に使われた石材がローマには豊富に存在したことなどの複数の要因が重なったことがあげられる。マムルーク朝建築の色石細工の発展には、地中海のイスラーム治下の技法とともに、キリスト教圏の事例も視野に入れるべきである。

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