ドーム

欧米語表記:dome

半球形の屋根を指す。その出現はイスラーム以前にさかのぼるもので、イスラーム建築では墓建築あるいはモスクの中心軸上など、建築的に強調したい部分に用いられ、各地特有の発展を遂げる。特に、四角い部屋に円形断面のドームを架けるには工夫が必要で、地域ごとの特色をもつ多様な技法が生まれ、高く大きく装飾的なドームが建立された。なお、四角形のへ部屋の部分を基部、ドームとの間の部分を移行部と呼ぶ。マムルーク朝のドームは、14世紀半ば頃まではレンガ造であったが、次第に石造ドームへと置き換わっていった。内部の移行部にはムカルナスを使うことが好まれ、ドーム外観はリブの模様をつけることから次第に発展し、15世紀末には幾何学模様やアラベスクを描くものも現れた。14世紀中葉のスルタニエには二重殻ドームがみられるが、通常は単殻ドームで、高さ方向を増していく傾向を指摘できる。

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