アブラク模様
欧米語表記:Ablaq アラビア語転写表記:ablaq
縞模様の建築装飾を指す。名称は、アラビア語のアブラク(交雑)に由来する。この技法は、イスラーム以前のシリアの初期キリスト教建築において、異なる素材(レンガと石)を層状に積み重ね、双方の構造的利点(軽くて弱いレンガと重くて強い石)を利用したことを起源とする。コルドバのメスキータのアーチは、創建当初、この伝統を受け継いでいた。その後、縞模様が装飾的役割を強め、色石を重ねたり、あるいは表面を縞状に塗り分ける装飾技法となっていった。マムルーク朝建築でアブラクを利用したものは、特にシリア地域に目立つ。マムルーク朝のスルターン・バイバルス1世は、1266年にダマスクス郊外に建設した宮殿をカスル・アブラク(縞模様の宮殿)と名付けた。