カーア

欧米語表記:qa'a アラビア語転写表記:qā'a

本来は広間を指すアラビア語で、中世アラブの客間様式を表す住宅史用語として使われる。その形は、中央に一段低い部分(ドゥルカ)を作り、その両側を一段高い広間(タザル)とし、3つの空間は連続的ながら、途中にアーチが挟まれ、両脇部分はイーワーン(大アーチを開口する広間)のような空間となる。中央の空間を高くして、そこに空気や光を取り入れる高窓(シャクシェイハ)を設け、その下に噴水を設置するなどして、快適な室内気候を作り出した。このような形式は、ファーティマ朝に成立したという見方とアイユーブ朝期に成立したという見方がある。マムルーク朝の14世紀には、宮殿や邸宅に定型化した実例が残り、邸宅のカーアがモスクに転用された例も数例ある。特に14世紀後半以後、住宅のカーアとモスクのイーワーン形式は似通った発展を遂げた。

出典:O'Kane. Bernard, Domestic and Religious Arcitecture in Cairo. Mutual Influences, Behrens-Abouseif. Doris ed. The Cairo Heritage, 2000. AUC

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