クルアーン
欧米語表記:al-Quran アラビア語転写表記:al-Qur'ān 別称:コーラン
イスラームの聖典。預言者ムハンマドに下された神の啓示で、諸預言者に与えられた諸々の啓典の一つとされる。クルアーンの原義は「読まれる(誦まれる)もの」で、暗記、朗唱することが原則であったため、ムハンマドの弟子の中で、それに秀でた者が暗唱者として尊ばれた。ムハンマド没後、アラブ・ムスリムの征服活動により、暗唱者の戦没や、征服した各地でのクルアーンの伝承の異動が生じだ。このため、第3代正統カリフ・ウスマーンの時代に正典化が命じられ、書物の形で一冊の本にまとめられた。この書物の形にまとめられたクルアーンのことをムスハフと呼び、ウスマーンはこの時まとめられた公定ムスハフを標準クルアーン(ウスマーン版クルアーン)とし、それ以外の異本を廃棄させた。そのため、クルアーンには偽典や外典はないとされる。