ファーティマ・ハトゥン廟(1283/4年創建)

欧米語表記:Mausoleum of Fatima Khatun, Mausoleum of Umm Salih アラビア語転写表記:turbat Fāṭima Khātūn, turbat Umm al-Ṣāliḥ 別称:ウンム・サリーフ廟

1283年に創建された、スルターン・バイバルス1世の妻であるファーティマ・ハトゥン(1284年没)の廟。マドラサと共に建てられ、マドラサの入口部分とミナレットは現存している。廟は方形のドーム室であるが、通廊と前室をもつ。この廟と、スルターン・カラーウーンの廟(1284年)、アシュラフ・ハリール廟(1288年)はいずれもスルターン・カラーウーンが関与したとされるドームで、その外観に同様の八角形のドラム(ドームと基部をつなぐ部分)を持つ。このため、カラーウーン廟の復元の際にはハリール廟の外観が採用された。しかし、内部の移行部(基部の方形断面とドームの円形断面をつなぐ部分)は、それぞれ異なっている。3者に共通する点は円形のモチーフを多用する点で、特に前2者では2連アーチの上部に円形を設け、それらを囲むアーチというモチーフが共通する。このモチーフは、イベリア半島、南仏、イタリア半島のロマネスク建築との関連を示唆する。

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