材料の一覧

  • オニキス

    欧米語表記:Onyx

    オニキス自体は縞目の硬い鉱物(玉髄)を指すが、建材としての黄色オニキスや緑オニキスは、リビアやエジプトなどで産出する黄色や翡翠色で縞目の入った被覆用の石材。縞目の美しさから板状に用いられる場合と、小さく切って色石として用いられる場合がある。マムルーク朝の建物の腰壁(壁の分節の最も下の部分、高さ0.7メートルから2メートル以上までを指す場合もある)や色石のモザイクに多用される。

  • 蛇紋岩

    欧米語表記:serpentine

    建築装飾に使われる濃緑色の石。緑色の地に蛇の模様のような縞模様(白色等)が入った石で、緑色の装飾石材として効果的で、イスタンブルのハギア・ソフィアの内装ではイベリア半島産の蛇紋岩が使われた。マムルーク朝では、色のついた石を組み合わせて装飾する技法が発展し、白大理石とともに、濃緑色の蛇紋岩、濃赤色のポーフィリー、黄色のオニキスなどが多用された。エジプトでも蛇紋岩を産出するが、輸入材や古代建築の転用材もある。

  • 赤色花崗岩

    欧米語表記:red granite 別称:桜御影

    白、黒、ピンクなどの部分からなる花崗岩の中で、赤い色合いの強いものを指し、アスワン地方に多く産出する。エジプトではファラオ時代から愛好されており、クフ王のピラミッドの墓室など重要な箇所に用いられた。マムルーク朝期には、色のついた石を並べた装飾において、ポーフィリーと共に赤色部分に使われた。またファラオ時代の赤色花崗岩製の円柱が、マリダーニー・モスク、城塞のスルターン・ナースィル・ムハンマドのモスク、スルターン・バルクークのモスクなどに転用されている。

  • 赤色斑岩(ポーフィリー)

    欧米語表記:porphyry,

    古代ギリシア語で紫を意味し、目の詰まった赤紫色の赤色斑岩のことを指す。見た目は、アスワン近郊で産する赤色花崗岩の中に類似するものもあるが、目が細かく赤黒い。その産地はハルガダ近郊の東砂漠にあり、ローマ時代に掘削が進んだ。色彩の美しさゆえに古くから珍重され、レバノンのバールベック神殿に使われた柱が、ハギア・ソフィア建設の際に運ばれ、内陣部に配置されたとされている。マムルーク朝時代には、色のついた石を装飾的に配置する際に好んで使われ、その多くは転用材である。

  • ファイアンス

    欧米語表記:faience

    近世ヨーロッパの錫釉陶器をさし、イタリアの焼物産地ファエンツァに由来する。その後、古代エジプト特有の青い焼物を同じくファイアンスという言葉で呼ぶようになった。

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