アッバース朝時代の用語一覧

  • アッバース朝(750−1258年)

    欧米語表記:Abbasid Dynasty アラビア語転写表記:al-Dawlat al-'Abbāsīya

    イラクを中心に、西はマグリブから東はマー・ワラー・アンナフルまでを支配したイスラーム王朝。首都はバグダード(836−892年はサーマッラー)。アッバース朝の支配体制を築いたのは第2代カリフ、マンスールであり、彼は新都バグダードを建設し、中央集権的体制の確立に努めた。第5代カリフであるハールーン・アッラシードの治世に最盛期を迎え、その子であるアミールとマームーンとの間でカリフ位をめぐる内乱が起きると、各地の政情は不安定となっていった。第8代カリフ、ムータシムの時代にトルコ人奴隷兵(マムルーク)を採用し、彼ら軍閥によるカリフの傀儡化を招くと,周辺辺境地域の半独立化、イラクにおける黒人奴隷ザンジュの乱やカルマト派の反乱が相次ぎ、イスラーム世界の軍事支配体制化の契機を作った。1258年にモンゴル軍によりバグダードが蹂躙され終焉を迎えた。ただし、カリフの後裔はマムルーク朝の都カイロで保護を受け、名目上のカリフ位は同王朝の終焉まで継続した。

    出典:新イスラム事典、岩波イスラーム事典

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