欧米語表記:Mosque of Ibn Tulun アラビア語転写表記:Masjid Aḥmad Ibn Ṭūlūn (Masjid Ibn Ṭūlūn/Masjid al-Ṭūlūnī)
アッバース朝から派遣されたエジプト州総督で、後にエジプトに独立政権を確立したイブン・トゥールーンによって876-79年に建設された大規模なモスクであり、それ以前に創建されたアムル・モスクと比べて、当初の姿をよく残している。マムルーク朝期には、フスタートとカーヒラの中間、城塞の西側という重要な位置を占めた。スルターン・ラジーン(在位1296-99年)によって、礼拝室中央のミフラーブ周囲、中庭中央のドーム建築、ミナレットなどが増改築された。ミフラーブはガラス・モザイクを伴い、ミフラーブ前のドームには木造ムカルナスが採用され、マムルーク朝期に礼拝室の南東部に増築されたミナレットは20世紀に解体された。また、1475年にスルターン・カーイトバーイが外庭(ズィヤーダ、モスクを囲む無蓋の空間)にサビールを増築した。